2013年5月4日土曜日

松谷健二 『東ゴート興亡 東西ローマのはざまにて』

先日『ローマ人の物語』を読み終え、古代ローマの次の時代に取り掛かろうとしている。
が、その前に、西ローマ帝国を滅ぼして、一瞬のうちに歴史の表舞台から消えてしまった東ゴートを理解しておこうと思い、『東ゴート興亡 東西ローマのはざまにて』を読んだ。

僕は歴史学者になりたいわけではないので、大まかな流れが分かれば良い。このぐらい柔らかくて、この程度のボリューム感で十分だろうと。

本書は『ローマ人の物語』の43巻とほぼ同じ時代を描いている。
ただ、東ゴートに焦点を当てているので、ローマ史に登場する前のゴート人の話や、『ローマ人の物語』以降の東ゴートの行方についても描かれているが、ページ数でいえば非常に僅かだ。

『ローマ人の物語』では、あくまで「ローマ」に主眼があっての東ゴートであったのだが、本書は当然ながらあくまで東ゴートの動静をなぞっている。そういう意味では、違う視点から同じ時代、同じ地域の歴史をなぞることができる。

が、正直なところ、直前まで読んでいた『ローマ人の物語』の出来と、ついつい比較してしまう。
やっぱり塩野七生さんの腕前はスゴイ。。。

本書は、誰のために書かれているのか、その文章運びからは伺うことができないのだ。
というのも、説明も無しにいきなり登場する人物とか、さも周知のことであるかのように描かれる挿話とか、その都度「あれ、この前に何か書いてあったっけ・・・?」と、その度に前を探さなければならないようなことが多かったのだ。
一定の知識を持っている人間が読むにしてはライトすぎるし、かといって、知識の無い人間が読むには説明の段取りが悪すぎる。『ローマ人の物語』を読んだ後でなかったら、なにがなんだかサッパリ分からなかったと思う。
が、そもそも「東ゴート」などというマイナーな存在に焦点を当てた本をわざわざ読もうという人間が、まるっきり知識を持っていないということは無い、というスタンスで書かれたのかもしれない。それにしては、通り一遍な描き方だが。

とはいえ、そのマイナーな「東ゴート」に焦点を当てた作品が文庫本で提供されているというのは、非常にありがたい話だ。
なお、同じ著者で、このあたりの時代の民族に焦点を当てたものとして『ヴァンダル興亡史』という作品があるのだが、残念ながら絶版だった。。。読みたいと思ったのに。。。



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